パンだ

ゆるくまったりと好きなことを好きなように

2022/08/17 徒然

浦和競馬場に行った。最初の1Rから最終の12Rまで全レースの馬券を買って当たったのはたったの1レース、ワイド300円だけ。もうひとつ、狙った馬が3着に入って複勝500円が当たったと喜んだのだが、払戻金が電光掲示板に映し出されてそのレースは少頭数で2着払いだとわかって悶えてしまった。

失意のうちに帰宅し、シャワーを浴びながら、ここまで当たらないのはいっそ清々しいな、と思った。そして、自分は自分のことを信じられないと言いながらよく馬券が買えるよな、とも思った。そのことが面白かった。

"競馬ファンは馬券を買わない。財布の底をはたいて「自分」を買っているのである。"という寺山修司の言葉にもあるように、どんな馬券を買うかを考え決めているのは自分だ。どの馬が勝つか? どの騎手が勝つか? 3着以内に入るのはどの馬か、どの騎手か? 550円で購入した競馬新聞『勝馬』を片手にパドックや予想配当率のオッズを見ながら過去の成績やその日のこれまでの結果も考慮してこれなら当たるだろう、ギリギリ損はしないだろうという馬券を買う。己を信じられない人間がそういうものに手を出すというのは、己を信じていることの証左にほかならないのではないか。そう言われたらそうかもしれないとしか答えられない。肯定されている、という感覚を得たくて馬券を買っているふしがあるのは自覚している。恥ずかしい話だが。

そうすると今回浦和競馬からは自分自身を否定され続けたということになるが、懲りないもので今度行ったときはもうちょっと当てたいと思い、馬券はもう買わないという方向にはならない。ロマン的な面から競馬が好きでありつつも、ギャンブルの面からも好きな人間の悲しい性だ……。