パンだ

ゆるくまったりと好きなことを好きなように

2022/09/23 徒然

出光美術館の展覧会『仙厓のすべて』を観た。リーフレットのおじいちゃんと子どものような絵で興味が湧いた(おじいちゃんは布袋様だった)。

仙厓のことも禅画のこともあまりよく知らなかったのだけれど、展示キャプションや各章の導入、コラムが読みやすかったのと、いわゆる「ゆるかわ」な作品の数々とで、最後まで惹き込まれながら観ていた。禅画って……? という感じだったけれど、そんな難しく考えなくても自分や身の回りのことに即して受け取ればいいのかな、と思った。

特に印象深かったのは蛙が描かれた作品と、牡丹が描かれた作品の2つだった。前者は『座禅蛙画賛』で、「坐禅して人か佛になるならハ」と添えられていた。座禅という形にこだわっていたら、座禅のような姿勢でいる蛙はどうなのよ、という解釈だった(違っていたらごめんなさい)。自分は体裁を気にして外っ面をどうにか繕おうとしてしまうから余計に胸に刺さるものがあった。後者は『牡丹画賛』で、仙厓の最晩年の作品だそうだ。牡丹の画に「うへて見よ 花のそたゝぬ 里もなし 心ろからこそ 身ハ畢しけれ」と添えられていて、とにかく苗を植えてみなさい、どういう結果になるかはその人次第だろうけれど、という意だと受け取った(違っていたらごめんなさいその2)。まずはやってみなければ始まらないと思う自分自身の考え方にしっくりくるものであると同時に、結果がついてくるかどうかはその身を尽くしたか否かというところに背筋が伸びる思いがした。

可愛くてほっこりしたり癒やされたりしながらも、生きていくうえで、もっと現実的に言うと日々暮らしていくなかで、心に留めておきたい教えがすっと染み込んでくる展覧会だった。観に行けて良かった。