パンだ

ゆるくまったりと好きなことを好きなように

2020年の中山グランドジャンプ

おめでとう、シングンマイケル。金子光希騎手。」と記した次にこんな内容を書くことになるなんて予想もしなかった。キーボードを勢い任せで叩いている今だって現実感が薄い。

 

コロナウイルス感染拡大防止で無観客競馬での開催になって、自宅でテレビ観戦していた中山グランドジャンプ。メイショウダッサイやブライトクォーツなど強い馬が揃っていたけれど、シングンマイケルを応援している身からは、オジュウチョウサンを王座から引きずり下ろす最有力候補はシングンマイケルと金子光希騎手だと思っていた。

そんな希望はゴールする前に打ち砕かれた。「次走こそ」ももう無い。だってシングンマイケルはもう居ない。心臓発作か、心臓麻痺か、ともかくもう命の灯は消えたのだ。

 

不良馬場で障害レースということに不安は拭えなかったけれど、それでもまあ大丈夫だろうと思っていた。結果、シングンマイケルにとってそれが大丈夫だったかどうかはわからない。心臓発作で競走中止。レース中はそうだと知らなかったから、最終障害の飛越はできたけれど着地で滑ったものだと思っていた。滑ったのであれば、不良馬場が、雨が、と言える。心臓発作ももしかしたら不良馬場でタフさが要求されて云々と言えるかもしれないけれど、自分にはわからない。

 

現地に居なかったからか、繰り返しになるけれど現実味が無い。感情が浮遊している。たしかにテレビ東京ウイニング競馬のレース中継で、シングンマイケルが倒れて、金子光希騎手が落馬した、その光景は目にした。レースリプレイでも再び目にした。それでも「いやいや嘘でしょ」と言いたくなってしまう。嘘じゃないのに。この後きっと更新されるJRA発表の今日の出来事を見ることになるのだろうけれど、それでも嘘であってほしいと願いたくなる。

 

これまで夢だったのかな、って思ってしまう。夏の福島で2着で悔しくて、武士沢友治騎手の手綱でいつか勝つことを願っていたらセン馬になって障害に転向して、そうしたら金子光希騎手の手綱で着実にジャンパーとして開花していって、2019年の暮れの中山大障害を勝った。こんな物語の結末が心臓発作で競走中止って、そんな終わり方、あんまりだ。やりきれない。

 

「お疲れさま」も言える。「ありがとう」も言える。言えはする。でも信じられないし、信じたくない。

 

こんなどうにもならないグチャグチャな感情を残したくはなかった。

 

どうか安らかに。シングンマイケル。